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コツさえつかめば,こんなに有用な人工呼吸器はありません

NICU で管理する新生児の呼吸管理として注目を集めているNAVA(neurally adjusted ventilatory assist,神経調節補助換気)に特化した初めてのテキスト。
医師による管理の基本と匙加減,看護師によるケアの基本と重要項目,臨床工学士によるメンテナンス解説など,新生児の呼吸管理に関わる多職種にむけてNAVAの呼吸器モード,基本をわかりやすく解説。症例集,Q&A,各施設の設定紹介など,臨床に則した具体的な内容を多彩に解説。
マニュアル的なNAVAの使い方/トラブルへの対処法/機器メンテナンスの章は,機械のそばに置いておける別冊仕立てとなっている。

 

 

 

 

刊行に寄せて

 NAVAは,本書にも寄稿してくださったトロント大学のChrister Sinderby先生とJennifere Beck先生ご夫妻が開発・普及に大きな役割を果たしました。Christer Sinderby先生は呼吸生理学者,Jennifere Beck先生は元NICUの看護師です。私達がトロント大学と縁が深かった関係でNAVAが本格的に臨床応用される前(2005年)からお二人は何度か長野,日本を訪れてNAVAの御講演をされていました。そして2015年にフィンランド・トゥルク大学のLiisa Lehtonen教授とHanna Soukka教授が盛岡での学会に来日・御講演されて,その後,早産児に多くの臨床経験のあるトゥルク大学と長野県立こども病院の交流が進んだことが,日本でNAVAが広く普及したことに大きな影響があったと思います。
 2013年の冬に小田 新 新生児科部長と深尾有紀 NICU看護師長と一緒に,当時アジアで最も早くNAVAを臨床導入していたソウル大学ソウル小児病院を訪問した際に,Han-Suk Kim教授から「慢性肺疾患で苦しい呼吸が続いている赤ちゃんの呼吸器をNAVAに変更すると,赤ちゃんは呼吸が楽になって穏やかな表情になり,穏やかな表情の赤ちゃんを見て母親が喜び,そんな赤ちゃんと家族を見てスタッフが幸せになる」と印象的な話を聞きました。2015年のLiisa Lehtonen教授の講演で,「NAVAはFamily centered careの一環です」と聞いたときは「目からウロコ」でした。それからNAVAは一気に全国に広がりましたが,私が印象的なのは,本著書の執筆者に代表される若い新生児科医と看護師,臨床工学士のみなさんが大変熱心にNAVAの普及に関わっていることです。その理由は,もしかしてKim教授,Lehtonen教授のお話にあるようにNAVAが今の日本の若い新生児医療スタッフが目指す「Family centered care」と深い関係があるのかもしれません。
 2022年初頭に小田新先生から「“NAVAワークショップ”を開催してきた仲間とその成果を著書にしたい」と懇願され,本書の刊行となりました。本書はNAVAの基本と臨床応用について解説した世界初の著書です。特にNAVAの特徴である横隔膜電位を数値化したEdiは,今までの胸郭の動きを視覚的に定性判断していた「呼吸努力」「呼吸筋力」を定量的,経時的に情報収集できることが詳細に解説されており,今後,新生児の呼吸管理法がさまざまな方面で研究が進むと思います。まさに本書から「新生児呼吸管理が進化」し,日本の新生児医療がさらに世界をリードしていくことと確信しています。最後に,本書の発刊にご尽力頂きましたメジカルビュー社第一編集部 工藤亮子氏に深謝いたします。

2023年 10月
長野県立こども病院 病院長
中村 友彦

NAVApedia 新生児NAVAのすべて [Web動画付]

¥6,380価格
  • メジカルビュー社

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